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メッセージ
足下の土をこねて、形にして、焼く、という作業を、人は分かっている範囲で一万年以上前からやっているそうです。おそらく人類の最も古いテクノロジーであり、 芸術の一つです。
地球の一部である土をもらって形にした器は、食と直結しています。命の水を運ぶには、何か入れ物が必要です。他の動物に食べられないように食物を保管しておく入れ物も必要です。食べるために煮炊きする器も必要になってきます。
器は、言うまでもなく生活必需品です。
ではモノが入るのならなんでも良いのかといえば、そうではないと私は思っています。
縄文土器を見ると、別の何かを感じます。見た目の色や形、器を手に持って口に直接つける日本人は、手取りや重さ、手触りも無意識のうちに感じています。
いろいろ感じながら、考えながら、使いながら、また少しずつ変化しながら。自分ではわからないうちに見えない何かに影響されて変わってきたところもあるでしょう。そうやって今日まで、器をつくり続けてきました。
器は高温で何時間も焼き続けます。そうして焼かれた土は、一度焼いてしまうと、もう二度と土に還ることはありません。割れてもパーツはそのままです。そのことを意識すると、無駄に焼くことがとても罪なことのように思えてきます。
漢字では「人」と「良」を合わせて「食」になります。食べることで人は良くなる。食材選びはもちろんですが、器の役割もかなり重要です。毎日毎食のことなので、その積み重ねは、知らない間にその人の感性、そして人生に影響してくると思います。
陶工房 風土の焼き物に目を留めてくださって、ありがとうございます。私のつくった一つの器が、あなたの毎日のかけがえの無い相棒となってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
陶工房 風土の器
うつわたちのプロフィール
01
粘土について
初めて器をつくったときから、白水の粗(しらみずのあら)と、鉄分の入った赤水の粗(あかみずのあら)という粘土が好きで、長年にわたって使っています。西条の粘土に信楽の粘土がブレンドされたもので、ぽってりと厚みがあり、保温性が高いのが特徴です。薄手で繊細な器には半磁器粘土もよく使用しています。
03
窯について
今では珍しくなってしまった灯油燃料の窯を使って焼きます。 機械で制御できる電気窯と違い、同じ土、同じ釉薬でも窯の中の場所や焼き方で少しずつ違った色になります。窯の中の温度差を読んで中に入れるものを変えるなど工夫が必要で、時間も手間もかかりますが、そこが面白味でもあります。
02
釉薬について
竹原の海と空をイメージした、四季折々毎日違う青がメインカラー。呉須に竹灰の釉薬を加えた力強い藍色「ジャパンブルー」、波止場から海を覗き込んだ時に見える、深い海のグレイッシュな青「グランブルー」、深みのある「ヴィンテージデニムブルー」。セミマットの白とオリジナル釉の黒とともに、食材に合わせやすい色をセレクトしています。
04
造形について
使いやすい形を考えながら作っているうちに、定番の形がいくつもできてきました。マグの持ち手のカーブ、ポットの注ぎ口の下の丸み、麺鉢の持ちやすく食べやすい深さなど、実際に手に取って使ってみると、小さなこだわりに気づき、もっと買い足したくなったという声をよくいただきます。毎日の暮らしとともにあり、また使いたい、もっと使いたいと思える形を目指しています。
プロフィール
いわかわのりこ Noriko Iwakawa
広島県出身、竹原市在住。気兼ねなく毎日使えて、人の暮らしと食を支える器を制作する「陶工房 風土」を営む。短大の美術科陶芸コース卒業後、会社員、建具・家具製作の手伝い、広島や熊本での田舎暮らし、カフェギャラリー経営などのかたわら、35年以上陶芸に携わり、デパートでの個展やギャラリーでのグループ展を行う。2004年から竹原市町並保存地区で陶芸教室、陶芸体験で作る喜びを伝える活動も開始。作業後の手作りおやつタイムを楽しみに通う人も多い。2021年臨床美術士の資格を取得し、器作りを通じて生きる意欲や自信の回復を目的とした指導も始める。地域の小学校の卒業記念品作りも恒例。今後もさらに製作活動に励み、毎日使いたい器、家族のような器、相棒となる器を陶芸家として届け続けたい。特技は手話と習字と着付けと大工仕事、パンドカンパーニュ作り。動物好きで、工房の看板猫「漱石」と保護犬の「まつり」と暮らす。「漱石」は岩合光昭さんの番組でも人気で、広島県路地裏観光課長を務める。